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執筆者の写真jewelrycrest

その時の記事になります。


8月初旬、西川美代子さん(80)=長崎市=のもとに贈り物が届いた。ケースに収められた銀細工の折り鶴が2羽。原爆で命を奪われた兄の同級生だった彫金師、周防勇さん(84)=東京都板橋区=が慰霊の思いを込めて作った。被爆72年の9日、長崎と東京でともに祈りを捧げる。 指先ほどの大きさで、精巧に作られたピンクとゴールドの鶴。贈られたのは、西川さんと山口ケイさん(77)姉妹。思いがけない品に驚いた西川さんは、すぐに仏壇に上げた。兄の谷﨑昭治さん(当時13)に「良かったね。ありがたいね」と伝えたかった。 昭治さんは当時、爆心地から800メートルの旧制瓊浦(けいほ)中学の1年生だった。遺骨は見つかっていない。2015年に長崎市であった原爆写真展で「黒こげの少年」の写真を見た姉妹は、少年を昭治さんと直感、「兄だ」と名乗り出た。 その話は昨年、新聞やテレビで報じられた。周防さんは心を揺さぶられた。昭治さんとは瓊浦中の同学年。「自分は生きのびた。何かしなくては」 あの日、学校で英語の試験を受けていた。帰宅途中に三つの落下傘が落ちてくるのを振り返って見つめた。


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